特定空き家に指定されないための回避策5選|指定基準・勧告の流れ・解除方法

特定空き家の指定を回避する具体的な方法を5つ紹介。指定基準4つ、管理不全空家との違い、勧告までの流れ、指定された場合の解除方法まで詳しく解説します。

特定空き家に指定されないための回避策5選|指定基準・勧告の流れ・解除方法

この記事でわかること(最短回答)

この記事でわかること(最短回答)

特定空き家の指定を回避するには、定期的な管理を続けることが最も重要です。 月1回の換気・年2〜3回の草刈り・破損箇所の修繕を行えば、指定リスクは大幅に下がります。

すでに管理が難しい場合は、早めの売却が最も確実な回避策です。


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特定空き家とは

特定空き家に指定されるとどうなるか。助言指導・勧告・命令・行政代執行の4段階と影響

法律上の定義

特定空き家は、空家対策特措法(空家等対策の推進に関する特別措置法)第2条2項に定められた概念です。放置すると周辺環境に悪影響を及ぼす空き家を、自治体が「特定空き家」に指定し、改善を求める仕組みです。

指定されるとどうなるか

特定空き家に指定されると、以下の措置が段階的に行われます。

段階措置影響
助言・指導管理改善の要請この段階では税負担の変化なし
勧告正式な改善勧告住宅用地特例が解除 → 固定資産税が最大6倍
命令改善の行政命令従わないと50万円以下の過料
行政代執行自治体が強制的に解体解体費用は全額所有者負担

勧告の段階で固定資産税が最大6倍になる点が最も大きな影響です。命令まで待つ必要はなく、勧告だけで増税が始まります。


特定空き家の指定基準4つ

特定空き家の指定基準4つ。保安上の危険・衛生上有害・景観・生活環境の保全

指定基準は法律の条文に定められています。空家等対策の推進に関する特別措置法 第2条第2項は、特定空家等を次のように定義しています。

そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等

出典:空家等対策の推進に関する特別措置法(平成二十六年法律第百二十七号)e-Gov法令検索(2026年8月4日取得)

この条文を分解すると、次の4類型になります。以下のいずれかに該当すると、特定空き家に指定される可能性があります。

基準①:倒壊等の保安上の危険

建物の構造に問題があり、放置すれば倒壊するおそれがある状態です。

  • 基礎の著しい沈下や傾斜
  • 屋根や外壁の脱落・飛散のおそれ
  • 柱や梁など構造部分の腐食・損傷

基準②:衛生上有害

建物や敷地が衛生的に問題がある状態です。

  • ゴミの放置による悪臭の発生
  • ねずみ・害虫・害獣の大量発生
  • アスベストの飛散リスク
  • 排水設備の破損による汚水流出

基準③:景観を著しく損なう

適切な管理がされず、周辺の景観を損ねている状態です。

  • 窓ガラスの破損を放置
  • 外壁の落書きを放置
  • 草木が著しく繁茂して敷地外に越境
  • 看板や屋根材が脱落したまま

基準④:周辺の生活環境の保全に不適切

近隣住民の生活に悪影響を及ぼしている状態です。

  • 不法投棄の温床になっている
  • 不審者の出入りがある
  • 動物が住みつき糞尿被害がある
  • 枝の越境で隣地に被害

管理不全空家との違い

特定空き家と管理不全空家の違い。状態・深刻度・固定資産税への影響・制度開始の比較

2023年12月の法改正で、特定空き家の一歩手前の段階として「管理不全空家」の制度が新設されました。

比較表

特定空き家管理不全空家
状態周辺に悪影響を与えている放置すれば特定空き家になるおそれ
深刻度高い中程度
固定資産税への影響勧告で特例解除(最大6倍)勧告で特例解除(最大6倍)
制度開始2015年2023年12月

2023年の法改正により、「まだそこまでひどくない」段階でも固定資産税の増税対象になりました。管理不全空家の段階で対処することが、より重要になっています。

条文での定義

同法第13条は、管理不全空家等を次のように定めています。

市町村長は、空家等が適切な管理が行われていないことによりそのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある状態にあると認めるときは、当該状態にあると認められる空家等(以下「管理不全空家等」という。)の所有者等に対し、(中略)必要な措置をとるよう指導をできる

さらに第2項で、指導しても改善されない場合は勧告ができると定められています。この勧告が出ると、住宅用地特例が外れて固定資産税が上がります。

自治体は立入調査ができます

見落とされがちですが、市町村長には調査権限があります。

権限内容
報告徴収所有者に空き家に関する事項の報告を求められる
立入調査職員等が空き家と認められる場所に立ち入って調査できる
事前通知立入りの5日前までに所有者へ通知(通知が困難な場合を除く)

報告をしなかったり虚偽の報告をした場合、立入調査を拒んだり妨げた場合は20万円以下の過料が定められています(同法第30条第2項)。

自治体から連絡が来た段階で無視するのは得策ではありません。放置すると勧告→増税へ進みます。


どの段階までなら指定を回避できるか(時系列)

分かれ目は勧告。通常の空き家から行政代執行までの5段階と税負担の変化

回避策の前に、手遅れになるラインを押さえておきます。自治体の措置は段階的に進み、後の段階ほど選択肢が減ります。

段階状況回避できるか税負担
通常の空き家苦情・連絡なし◎ 管理を続ければ問題なし変化なし
自治体から連絡・助言管理不全の兆候を把握された○ この段階の対応が最も安上がり変化なし
管理不全空家の指導放置すれば特定空家になるおそれ○ 改善すれば指定に進まない変化なし
管理不全空家の勧告指導しても改善なし△ 改善で解除は可能だが…特例解除=最大6倍
特定空家の指定〜勧告周辺に悪影響△ 解除には是正が必要特例解除=最大6倍
命令・行政代執行勧告にも従わない✕ 強制解体・費用全額請求+50万円以下の過料

分かれ目は「勧告」です。 勧告が出ると固定資産税の住宅用地特例が外れ、税額が上がります。逆に言えば、助言・指導の段階で動けば、費用も税負担も最小で済みます。

自治体からの連絡を無視しないこと。これが回避の大前提です。そのうえで、以下の5つの方法があります。

指定を回避する5つの方法

指定を回避する5つの方法。定期管理・売却・賃貸・解体して土地活用・補助制度

方法①:定期的な管理を続ける(基本)

最もシンプルで確実な方法です。以下の管理を継続すれば、指定リスクはほぼゼロになります。

最低限やるべき管理リスト

  • 月1回の換気(窓を開けて空気を入れ替える)
  • 年2〜3回の草刈り・庭木の剪定
  • ポストの郵便物を定期的に回収
  • 外壁・屋根の目視点検(破損があれば早期修繕)
  • 敷地内のゴミ・不法投棄物の撤去

遠方に住んでいて自分で管理できない場合は、空き家管理サービス(月5,000〜15,000円程度)を利用する方法もあります。

方法②:売却する(最も確実)

空き家を手放せば、特定空き家に指定されるリスクはゼロになります。維持費・管理費の負担もなくなり、売却代金も手に入ります。

管理を続けても建物の資産価値は年々下がるため、長期的なコストを考えると売却が最も経済合理的な選択肢です。

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方法③:賃貸に出す

住む予定がなくても、賃貸に出せば「使用中」となり特定空き家の対象外になります。ただし、老朽化した空き家は賃貸需要が低いため、リフォーム費用との兼ね合いを慎重に検討してください。

方法④:解体して土地活用する

建物を解体し、駐車場やトランクルームとして活用する方法です。ただし注意点があります。

  • 解体すると住宅用地の特例が外れるため、土地の固定資産税は上がる
  • 活用による収益が税金の増額分を上回るか事前に試算が必要
  • 解体費用は木造で150〜300万円程度

方法⑤:自治体の補助制度を活用する

多くの自治体では、空き家の解体・改修に補助金を出しています。

補助金の例

  • 解体費用の補助:上限50〜100万円(自治体による)
  • 改修費用の補助:上限50〜200万円
  • 空き家バンク登録による補助

まずはお住まいの自治体(物件所在地の市区町村)の空き家対策窓口に問い合わせてみてください。


自己診断:特定空き家に指定されるリスクは?

特定空き家に指定されるリスクは?
  • ☑ 1年以上、空き家の管理(換気・清掃・草刈り)をしていない
  • ☑ 外壁や屋根に目に見える損傷がある
  • ☑ 庭の草木が道路や隣地にはみ出している
  • ☑ 自治体から管理に関する通知や文書が届いた
  • ☑ 近隣住民から苦情が来ている

2つ以上当てはまれば要注意。3つ以上なら早急に対策を取ってください。


指定されてしまった場合の解除方法

指定されてしまった場合の解除方法

すでに特定空き家に指定された場合でも、管理状態を改善すれば解除できます。

解除の手順

  1. 自治体に改善計画を相談 — どこを改善すべきか具体的に確認
  2. 修繕・清掃を実施 — 指摘された箇所を改善
  3. 改善完了を報告 — 自治体に写真付きで報告
  4. 現地確認 — 自治体の担当者が改善状況を確認
  5. 指定解除 — 改善が認められれば翌年度から住宅用地特例が復活

改善が認められれば固定資産税は元の水準に戻ります。ただし、改善にかかる費用と売却した場合の手取り額を比較して、どちらが得か冷静に判断してください。


まとめ

まとめ

特定空き家に指定されると固定資産税が最大6倍になります。指定を回避するためには、日頃の管理が最も重要です。

この記事のポイント

  • 特定空き家は4つの基準(倒壊危険・衛生有害・景観悪化・生活環境不適切)で指定
  • 2023年法改正で「管理不全空家」も固定資産税増税の対象に
  • 回避策は管理継続・売却・賃貸・解体活用・補助制度の5つ
  • 指定されても管理改善で解除可能
  • 長期的なコストを考えると売却が最も経済合理的

空き家の固定資産税6倍リスクについて詳しくは、空き家の固定資産税が6倍になる条件と対策をご覧ください。

空き家の売却方法について詳しくは、空き家売却の完全ガイドをご覧ください。


よくある質問(FAQ)

よくある質問(FAQ)

Q. 特定空き家の指定は全国一律の基準?

A. 国が示す4つの基準は全国共通ですが、具体的な運用は自治体ごとに異なります。積極的に指定を進める自治体もあれば、助言・指導にとどめる自治体もあります。物件所在地の自治体に確認してください。

Q. マンションも特定空き家に指定される?

A. 現行法では、マンションの一室だけが特定空き家に指定されるケースは稀です。ただし、マンション全体が管理不全で放置されている場合は対象になりえます。管理組合の機能が停止しているケースなどが該当します。

Q. 相続した空き家でまだ名義変更していない場合は?

A. 名義変更(相続登記)の有無に関係なく、相続人が管理義務を負います。2024年4月から相続登記が義務化されたため、3年以内に登記を行う必要もあります。未登記のまま放置すると10万円以下の過料の対象です。

Q. 空き家管理サービスの費用はどのくらい?

A. 月額5,000〜15,000円が相場です。基本プランでは月1回の巡回・外観チェック・郵便物回収。上位プランでは室内換気・通水・草刈りも含まれます。遠方に住んでいる方には有用なサービスです。

Q. 指定を受けてから改善するまでの猶予はある?

A. 助言・指導の段階では明確な期限は設けられていませんが、勧告が出ると翌年度から固定資産税が増額されます。助言を受けた段階で速やかに改善に着手するのがベストです。

Q. 自治体からの連絡を無視するとどうなる?

A. 空家等対策特別措置法では、市町村長が所有者に報告を求めたり、職員が立ち入って調査したりできると定められています。報告をしなかったり虚偽の報告をした場合、立入調査を拒んだり妨げた場合は20万円以下の過料の対象です。さらに命令に違反した場合は50万円以下の過料が定められています。無視しても状況は改善せず、助言・指導から勧告へ進んで固定資産税が上がるだけなので、連絡が来た段階で対応するのが得策です。

Q. 立入調査は突然来る?

A. 原則として事前通知があります。同法は、職員等を立ち入らせようとするときは立入りの5日前までに所有者へ通知しなければならないと定めています。ただし所有者に通知することが困難であるときはこの限りではないとされているため、連絡先が自治体に把握されていない場合は通知なしで調査が行われることもあります。

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訳あり物件ナビ編集部
訳あり物件・事故物件・借地権・空き家の売却に関する情報を中立的な立場で調査・執筆しています。 掲載情報は公開時点のものです。最新情報は各公式サイトでご確認ください。